必要保障額は一人一人違います
必要保障額とは、簡単に言うと、もしもの時に必要になる費用から、そのときに用意できる資金を引いた金額で、この金額がいわゆる保険金の額になります。
まず、もしもの時に必要になる費用ですが、
例えば、万一の場合は、
- 以降の生活費
- 以降の子どもの教育費
- 以降の住居費
- その他(葬儀代や遺族の精神ケア費用など)
4.以外は、亡くなった時点からそれ以降にかかる費用ですので、亡くなった時期が後になればなるほど金額は少なくなります。また、遺族の人数、年齢などでも変動しますので、一概に「これ」と言えないのが容易に想像できます。
そして、そのときに用意できる資金ですが、
同じく、万一の場合は、
- 遺族厚生年金(妻が再婚しない場合)
- 遺族基礎年金(子のある妻、子が18歳まで)
- 中高齢寡婦加算(2の遺族年金計算上の子が18歳以上〜妻65歳まで)
- 老齢基礎年金
- 妻の収入
- 死亡時の勤め先からの一時金(退職金など)
- 預貯金
1.〜 4.は、公的年金で、遺族の状況や、制度の改正により、若干の違いがでます。5.〜7. は、人それぞれ、完全に異なることは明らかです。
さらに、同じ家庭でも、時期によって変わります
もしもの時に必要になる費用の節でも言いましたが、同一家庭、同一人物でも、時期によって、必要額は変動します。一般的には、後ろへずれればずれるほど、以降の教育費・生活費合計は減っていきますので、安くなります。つまり、以前加入した保険が、その当時の価値観に合致していたとしても、今、同じく満足のいくものとは必ずしも言い切れないということになります。
医療保険の必要保障額は特に注意が必要です
さて、医療保険に目を移してみましょう。必要保障額の計算方法は同じです。
必要な費用は、治療費と、もし、入院時の収入が減るのであれば、その減額分です。
用意できる資金は、どうでしょうか?まずは、公的健康保険が治療費の7割を負担してくれますので、この7割分がすぐに思い浮かびます。(実際は必要な費用が自己負担分の3割と考えたほうがわかり易いですが、形式上こうします)
一度でも入院された方であれば、お勤め先からいくらかの見舞金や、もし、健康保険組合をお持ちお勤め先であれば、独自の給付金などが受け取れることをご存知かもしれません。
実は、こういったお金によって、実質、治療費(入院費も含めて)は十分カバーできるケースがしばしば見受けられます。その場合は、当然ながら、民間保険でカバーする必要はありません。
公的保険の「高額療養費」という制度
先ほどの例では、がんなど、治療費が高額になった場合、公的保険や健康保険組合の独自給付などではカバーできなくなりますが、このような、高額な治療費(実際は医療費)の場合は、高額療養費という制度があり、実は、この制度で、公的保険側に7割以上の負担をしてもらえるのです。
もう少し詳しく説明しましょう。たとえば、1ヶ月の医療費が100万円だったとします。私たちが普段慣れ親しんで?いる健康保険制度の常識では、このうちの3割=30万円を自己負担分として支払わなければならないと考えてしまいがちで、「この30万円を補填するために医療保険へ加入…」となりますが、実は、この高額療養費制度の計算式を適用すると…
8.01万円+(医療費-26.7万円)×1% (70歳未満の場合)
↓↓↓8.01万円+(100万円-26.7万円)×1%=87,430円
実際の自己負担額は87,430円なのです。
つまり、30万円の補填は不要となります。但し、この高額療養費制度の対象は医療費となっており、差額ベッド代や先進医療の費用など公的保険の適用外部分については同じく適用されませんので、こういった部分での不安を感じている方に関しては、この限りではありません。
このように、適用範囲や計算が複雑な公的保険に気が付くか、気付かないかで、保険の考え方が大きく変わりますので、できる限り専門家にご相談されるべきです。